一人暮らしとカギの交換

犯罪にあわないために

私は20代から30代にかけての約10年間、東京の都心部に住んでいました。
当時はまだ独身だった私は、毎日仕事に明け暮れる毎日で、自宅にはただ寝に帰るという日が続いていました。
それは大晦日も近い12月のある日のことです。
私はいつものように一人会社に残り遅くまで仕事を続け、終電で自宅まで帰りました。
途中、コンビニで暖かい夜食を買い、自宅の扉の前につき、いつものようにカギを入れているポケットを探ると、カギがない。
私は一瞬凍りつきました。
反対のポケットを探ってみても、ない。
すべてもポケットをくまなく探しても、カギはいっこうに出てきません。
当時私はカバンを持っておらず、いつも手ぶらで職場に通っていました。
当然、カギを入れる場所はポケット以外ありません。
「会社に置いてきたか、落としたか。
」しばらく呆然としたあと、さあどうしようかと考えた結果、私は専門の業者さんに依頼して鍵を開けてもらうことに決めました。
こんな時、東京は本当に便利だと思います。
電話一本で、すぐ業者さんが来てくれ、わずか10分もあれば鍵を開けてもらえます。
私はすぐにひとつの業者さんの連絡先を調べ、早速電話してみました。
連絡後、来るまでの間外で見ていた東京の夜景は、なんだかいつもと違うものに見えました。
まもなく、マンションの下に、一台のワンボックスカーが停まり、業者さんであろうそれらしき人が階段を上がってきました。
「助かった。
」早速見てもらい、作業に取り掛かってもらいましたが、ここで彼から驚きの一言が。
「これは壊さないとダメですね。
」なんでも新しいシステムのカギだそうで、道具で開けることは不可能で、壊すしかないとのこと。
ここまできて開けずに帰ってもらうのも悪いし、何よりこれ以上寒い外にいることに耐えられなかった私は、泣く泣く壊すことを了解し、なんとか家に入ることができました。
翌日は休日だったため早速カギを交換し、一息付いた時、昨日帰りに買ったコンビニの袋が目に入りました。
昨日はバタバタして食べられなかったなあ、と袋を持ち上げた時、金属音がかすかに聞こえました。
恐る恐る中を見てみると、袋の中にはキーホルダーの付いた扉のカギが。
もう使えなくなったそのカギと、交換した扉のカギの領収証を交互に見ながら、私は泣き笑いするしかありませんでした。